アーリーリタイア出来ない理由のひとつに、アーリーリタイアのために必要となる資金がどの程度必要なのか計算できないことがあります。
何歳まで生きるか未来のことが分からないので、答えは出ない問題となりますが、先日「必要とするリタイア資産はいくら、ねんきん定期便をもとにした場合」では、公的年金をもとに算出する方法を記載しました。
反響が多いようですので、追加記載します。
公的年金の繰り下げを利用した必要資金の計算方法
1.1ヶ月に必要とする生活費を算出する
これは特に方法はなく、Ranpaの場合は「退職後の生活費を試算してみた」にも記載しましたが、家計簿アプリでカウントするなどして計算しました。
持ち家かどうかにもよりますが、Ranpaの場合は20万円としました。
2.65歳から受給できる公的年金の額を把握する
年金定期便に「これまでの年金保険料の支払い実績に基づいた、想定支給年金額」の記載があるので、現段階で受給できる金額が確認できます。
この金額は、これまで支払った保険料による部分で、これから保険料を支払えば、さらに増加していきます。
世帯として考える場合は、年金の見込額を夫婦合算で把握することになります。
3.受給する年金額で生活できるか比べてみる
もし、夫婦合算で受給額が240万円/年あれば、税金等を考慮しない前提として、1で計算した20万円/月の生活費がカバーできることになります。
この場合、年金受給は65歳からとなるので、退職時より65歳までの生活費を確保することがアーリーリタイアの実現に必要となる資金となります。
もし45歳であれば、240万円/年×20年の4,800万円が必要資金となります。
もし50歳であれば、240万円/年×15年の3,600万円が必要資金となります。
※税金等を考慮しない場合
4.受給する年金額だけでは生活できない場合
受給する年金は繰り上げして増加させることができます。1ヶ月繰り上げすると0.7%増加するので、70歳まで繰り上げれば約1.4倍に増加します。
もし、67歳まで繰り上げし、必要とする生活費の20万円/月を年金で確保できた人の場合は、退職時より67歳までの生活費を確保することがアーリーリタイアの実現に必要となる必要資金となります。
もし45歳であれば、240万円/年×22年の5,280万円が必要資金となります。
もし50歳であれば、240万円/年×17年の4,080万円が必要資金となります。
※税金等を考慮しない場合
ただし変動要素もあります
日本が年金制度において安心できる国であれば、その計算を信用できますが、繰り上げできる年齢の範囲や、繰り上げしたときの増加率は変更される可能性があります。
また、年金制度そのものも、変更される可能性もあります。
そのため、計算上はこうなるが、最悪のケースも考えて保守的にバッファーを積んでおくという他にないと思っています。
ただし、全く想像もつかない、分からない、計算できない・・・という次元ではなくなりましたよね。
公的年金以外の制度については、以前「トンチン年金はアーリーリタイアのリスクヘッジができるか?」に記載しましたので紹介します。
答えが出ないことを担保するのが保険や年金
いつまで生きるか、いつ死ぬか・・・、このリスクを担保するものが保険や年金です。
早く死亡して家族が困らないように手当てするのが生命保険で、長生きしすぎて困らないように手当てするのが年金です。
個人単位で見ると、Aさんは35歳で死亡し、Bさんは100歳まで長生するなどバラバラですが、全体で見ると、35歳で死亡する人の割合も、100歳まで長生きする人の割合も、大きな変動はありません。
その数値をもとに、AさんもBさんも一定の金額を支払うことにより、Aさんが35歳で死亡すれば家族に○○万円の生活費を、Bさんには年間○○万円の生活費を支払うものが保険制度です。
つまり、個別には、早死にする人も、長生きする人もいるが、平均寿命でファンドをつくれば、収支が合うという仕組みです。
長生きや、早死にするリスクは、このような仕組みを活用するか、無駄を覚悟で定年まで働くかの選択になるのではないでしょうか。