長生きリスクとは
普通の生命保険は早死にリスクに備えるためにつくられた金融商品です。子供が小さいうちに、お父さんが死亡した場合でも、残された家族が生活できるように設計しています。
生命保険の中には生存保険という種類があり、長生きリスクに備えるためにつくられた金融商品です。平均寿命が延びれば、それだけ長生きリスクが増加します。早死にリスクよりも長生きリスクが相対的に大きくなっているということです。
従来であれば、60歳で定年退職するとして平均寿命の80歳程度まで生きることを想定し、約20年の生活費を準備することが多いと思います。しかし実際に100歳まで長生きすると80歳以降の生活費が不足します。しかも80歳を過ぎれば働いて収入を得ることも難しくなります。
長生きリスクとは、長生きにより必要とする生活資金の見積もりが狂ってしまい、生活できなくなることです。逆に、使わずに資産を残しすぎるリスクも考える必要があります。
トンチン年金とは
トンチン年金とは長生きリスクをヘッジするための年金です。長生きリスクを保障する目的に設計されたもので、長生きすると得しますが、早死にすると損してしまいます。
例えば、生存していれば毎年100万円の年金が70歳からもらえるとして、100歳まで生存すれば100万円×30年の3,000万円もらえます。しかし69歳で死亡すれば小額の見舞金のみ支払われるようなものです。
生命保険は「良く考えないと損しますよ、4月の保険の料率改定」に記載しましたが、死亡率をもとに計算した金融商品ですので、通常の生命保険と逆の計算をしています。
アーリーリタイアの必要資金計算として
アーリーリタイアの必要資金計算は「長生きリスクを考慮した老後の必要資金について考える」や「アーリーリタイア いくら必要、必要資金」にも記載しましたが、生活資金を何歳まで設定すれば良いか分からないことが難しくしています。
その点、トンチン年金があれば、生存している限り年金収入を得られるので長生きしても安心です。
公的年金も生存している限り支払われるので、法律が変わらなければ長生きリスクをヘッジできる有難い制度です。公的年金の見込み額は『ねんきん定期便』で定期的に案内されます。少し前に到着したので「ねんきん定期便が着ました、もらえる額は?」に記載をしています。
トンチン年金と終身年金の違いは
トンチン年金も終身年金の一部で、どちらも生命保険会社が取扱う商品です。よくある終身年金との違いは、長生きリスクの保障に特化しているかどうかです。
長生きリスクをヘッジしたいが、早死にしたときも損はしたくない・・という場合は通常の終身年金を選択することになります。早死にしたときでも投資額は家族に返金されることになります。
しかし普通の終身年金は、長生きリスクがヘッジされて早死にしても損しない設計になっている分、同じ年金額を受取るための必要投資額はトンチン年金よりも高額になります。
トンチン年金は早死にすると損はするが、必要投資額が通常の終身年金よりも少ないことがメリットです。
アーリーリタイアはトンチンでリスクヘッジできるか
トンチン年金も終身年金も、生存する限り年金が支払われるという有難い商品ですが、必要投資額が高額になってしまいます。
アーリーリタイアした後、長生きリスクを考えれば、とても興味深い商品であることは間違いなく、公的年金制度だけでは心配という場合に使えますが、Ranpaが90歳になるには45年も先です。今はデフレ状態ですが、将来インフレになって想定していた年金額では全く生活ができないという可能性もあります。
しかし、長生きにより必要とする生活資金の見積もりが狂ってしまう可能性は十分考えられるため、リスクヘッジには有効な投資です。
しかし、長生きにより必要とする生活資金の見積もりが狂ってしまう可能性は十分考えられるため、リスクヘッジには有効な投資です。
投資環境や物価の上昇を見ながら、資産のポートフォリオの一部として保持することを考えていきたいと思います。