11年ぶりに標準死亡率が変更される
生命保険は平均寿命をもとに保険料を計算していますが、厳密には標準死亡率というものをもとにしています。人生100年時代になって長寿化すれば、どこに影響するか考えてみましょう。
終身払の生命保険
「保険料は一生上がりません・・・」と説明されている、死亡するまで毎月同額の保険料を支払う生命保険の支払い方法を終身払といいます。
例えば、平均寿命が80歳であれば、平均的に80歳で死亡するため、全体として80歳まで保険料を支払うことで収支バランスが取れる計算になります。つまり、加入時期が50歳であれば平均的に30年間支払ってもらうことになります。
平均寿命が85歳に延びると、平均的に5年長く支払うことになるが、保険会社からもらえる保険金は同じ額のままです。つまり5年長生きをして5年多く支払うことになるが、もらえる金額は同じということになります。この場合、最新の平均寿命をもとに計算されれば、5年分多く保険料を支払うことを前提とした保険料となるため、月々の支払額は安くなります。
運用利率も影響する
生命保険は死亡率以外に、預かったお金を運用する運用利率にも影響されます。平均寿命が延びたことによって保険料は安くなる傾向ですが、低金利時代で保険会社は加入時に約束する運用利率を下げる傾向もあります。
つまり、寿命が延びて保険料は安くなっても、運用利回りが低下して保険料が高くなるという、相反する要素が2018年4月の保険料率改定に含まれます。
そのため、各保険会社の改定内容を見ても、「値下げと、値上げが混在する」としている会社が多いようです。
どのようなものが値上げになるのか
保障に特化した、掛け捨ての生命保険は値下げになる可能性が高くなります。逆に、運用目的の生命保険は値上げになる可能性が高くなります。
例えば、500万円を1回支払うと60歳から年金で支払われるものや、500万円を1回支払うと60歳以降510万以上になって戻ってくるなどのタイプは値上げ傾向です。
生命保険は、運用利回りと死亡率の両方をもとに計算されるため、一概に○○については高くなるとは言い切れません。同じものでも、30歳の人は高くなって、60歳の人は安くなるということもあります。60歳の人の方が運用する期間が短く、死亡率が高いからです。
注意すること
生命保険については「家計の見直し対象にされる保険、Ranpaの加入状況」に記載したように、必要なものを最低限度契約するものと考えています。
ニュース等で話題になり、契約済みのものと比べて安くなることが間違いなければ、変更することも選択肢ですが、違うものを安易に比べて安くなったと勘違いすることがあるので注意が必要です。保険は同じと思っても、気付きにくいところが違っているということがよくあります。
正しく判断でき、特に最近契約された人については、4月の料率改定を機に契約を変更しても良いのではないでしょうか。必要なものを最低限契約するためにも、不必要なものに契約することはないでしょうし・・。