しかし、まだ歴史の浅いサービスであり、今後どのようなっていくのかは未知数です。「10%もある投資は色々なリスクがつきもの」でリスクについて触れましたが、最近感じるソーシャルレンディングの仕組みに関するリスクについて思うことを記載します。
貸付先が見えないリスク
ソーシャルレンディングは投資したお金の貸付先が分からない特徴があります。投資家側は貸付先に直接お金を貸す仕組みではないため、貸付先を伏せた状態で投資することになります。投資家はリスク分散として異なる貸付先と思えるファンドに投資をしますが、実は同じ1つの会社に投資しているかもしれません。
その同じ1つの会社がソーシャルレンディングの運営会社とどのような関係があるかも分かりません。運営会社の関連会社であったり、代表者の親族が経営する会社であっても分からなくなります。ソーシャルレンディングでは関連会社を通じて借り手となる法人に貸付することが多いため、お金の流れは複雑になります。
貸し手と借り手が実質的に一体であれば、貸付金の返済が近づけば、新規ファンドを募集して返済資金を集めることができます。借り手の財務内容が悪くても、資金ショートせず、ソーシャルレンディングは打ち出の小槌のように使えます。
貸し手と借り手が実質的に一体でなくてもデフォルトを出して、ソーシャルレンディングによる資金集めがしにくくなるぐらいなら、追加で貸付してデフォルトを回避させようとすることはないでしょうか。ソーシャルレンディングで今までデフォルトが少ないことは、そのような理由もあるのではないかと考えてしまいます。
借換資金の貸付ができなくなったら
ソーシャルレンディングでは借換資金の貸付は一般的ですが、もしその貸付ができなくなったらどうなるでしょう。恐らくその法人には、借換の対象となっている借金以外にもソーシャルレンディングからの借金があると考えられますので、それらはまとめて返済不能になる可能性は高くなります。
新規貸付ができなくなるケースとしては、当局の行政処分等により業務停止や業務改善命令が出たときが考えられます。新規の貸付が停止している間にも、借換資金が必要な貸付先が出てくるのではないでしょうか。
行政処分等でなくても、デフォルトを出して資金が集まらなくなったときは、それに近い状態になると思われます。貸付先が見えないことは、そのような状態で貸付をしているのかどうかも分からないことになります。
個々のファンドより運営会社が重要か
「10%もある投資は色々なリスクがつきもの」に記載したとおり、ソーシャルレンディングの運営会社の見極めはとても重要なことと再認識しています。個々のファンドは貸付先が見えない仕組みにより、運営会社によって何とでもすることができるからです。
ただし、運営会社の見極めも簡単なことではありません。きっちり見極めできるような情報が無いためです。この辺りは当局による早期の法整備を望むところです。
現在できることは、上場企業との資本関係や金融機関との提携有無などで推測することぐらいではないでしょうか。個人の投資家が入手できる情報は限定的でも、資本関係のある上場企業や提携している金融機関であれば、判断材料を入手したうえで出資や提携しているでしょう。
上場企業との資本関係や金融機関との提携が無いからといって、悪い運営会社ではありませんが、そのような運営会社は一般投資家が判断できる材料を提供していく努力をして欲しいと思います。
ただし、運営会社の見極めも簡単なことではありません。きっちり見極めできるような情報が無いためです。この辺りは当局による早期の法整備を望むところです。
現在できることは、上場企業との資本関係や金融機関との提携有無などで推測することぐらいではないでしょうか。個人の投資家が入手できる情報は限定的でも、資本関係のある上場企業や提携している金融機関であれば、判断材料を入手したうえで出資や提携しているでしょう。
上場企業との資本関係や金融機関との提携が無いからといって、悪い運営会社ではありませんが、そのような運営会社は一般投資家が判断できる材料を提供していく努力をして欲しいと思います。