「頑張って働いてもその資産は皆のものになる理不尽」に記載のように、自分や家族のために働いて貯めたお金が、自分や家族も使いきれなかった・・・というのは避けたいものです。
しかし、安全のために働き続け貯め続けたことが、結果としては正解であった・・・が無きにしも非ずなのが難しいところです。
長く働かせようとする誘惑
少子高齢化によって高齢になっても働けば特典が付与されます。
「悲報、公的年金の受給開始年齢を引き上げる?」にも記載した、年金受給開始の年齢については、遅らせるほど年金額が増加するという行政の宣伝をよく見ます。
高齢者の働く意欲を尊重するという名目で、年金の受給開始を75歳まで選択できるようにすることや70歳定年を一般化させることが検討されています。
企業側は高齢者を雇うことで助成金がもらえることもあります。
会社を辞めて地方生活は4ヶ月近くになりますが、都市部でサラリーマンをしていた頃と違うのは、高齢者を見ることの多さです。
特に平日は高齢者の比率が高く、少子高齢化によって高齢者にも働いてもらわないと税制や社会保障面、経済成長などにおいては成り立たなくなって行くことを感じます。
多数派の理想
年金の受給開始が65歳ということで、65歳定年の仕事をしているのであれば、65歳まで働いてリタイア生活するのが一般的とされる生き方です。
年金の受給開始まではきっちり働きあげ、そこからは年金で悠々自適の生活をする・・・。これが多数派の理想だろうと思います。
確かに、年金受給前にリタイアをすれば大きく資産を取崩すことになります。
Ranpaの想定している月に20万円の生活費で考えても、5年間で1,200万円も無くなります。
とりあえず働いていればその1,200万は無くならない資産なので、60歳定年であっても65歳までは働こうとする人が多くなります。
生涯現役の場合
現行でも年金の受給開始は70歳まで繰り下げすることが出来ます。もし70歳まで繰り下げれば年金が42%増加するので、その特典を目当てに働く人は多いと思います。
しかし繰り下げ中に死亡すれば、長年に渡って年金保険料を支払い続けたにも関わらず、本人は全くもらえずに支払い損です。(遺族がいれば、繰り下げしていなかった場合にもらえた年金を受取ることはできますが・・・)
また、繰り下げた受給開始直後に死亡すれば、その時点で年金の支給は終了です。42%の増加を目論んだことは大失敗ということです。
さらに、42%の増加といっても、増加すれば税金や保険料も増加します。
収入が多くなるほど税率や保険料率は高くなるので、実際には33%程度しか増加しないといわれます。
生涯現役で収入が一定以上あるケースでは、働いている間の年金額は減額され、減額された年金は働くのを止めても戻ってきません。
年金制度とは理不尽なもので、長生きすれば得するが、早死をすれば損をしてしまいます。長生きする人のために、みんなでお金を出し合っている制度なのです。
生命保険で儲けることは出来ないというが
年金制度とは逆に、生命保険は早死するほど多くの保険金がもらえます。
しかし、死なないともらえないので、結局、長生きすれば損することになり、生命保険で儲けることは出来ないと言われます。
そのため、不必要に高額の生命保険に加入することは無駄なことですが、年金も不必要に増加を目論むことは無駄なことでは無いでしょうか。
長生きしなければ得にならない仕組みなので・・・。
少子高齢化により、少しでも長く働き少しでも年金の受給を遅らせる方向にあるようですが、不必要に年金額を増加させるリスクは大きいように感じます。
老後資産の準備が出来たのであれば、欲を出して長く働くよりも、リスクを取らずに確実に早めのリタイアをするという考え方もあると思います。