生涯現役社会を目指す理由となっている、社会保障の財政は改善するとは思いますが、弊害というか、影響は大きいと思います。
高齢者のうち8割の方が65歳以上になっても働きたいという意欲を持っているそうですが、それは本当にそう思っているのでしょうか。
アーリーリタイアした側から見ているので、斜めから見てしまうのでしょうか。
働きアリの法則
高齢化が進む日本において生涯現役の社会が実現すれば、当然、働く人が多くなるとともに、今まで働いていなかった人が働くこととなり、多様性が増すと思われます。
働く環境では、若い人から老人に分類される人まで、多様な人達によって構成されるようになるのでしょう。
また、働く環境では働きアリの法則のように、2:6:2の割合で頑張って働く人と普通の人と働かない人が出てくるのですが、この割合にも影響が出てきそうです。
働きアリの寿命は1~2年のようですが、期間が短ければモチベーションの維持は簡単なのですが、生涯現役の社会となって50年以上も働くこととなれば、上手く力を抜いて働く人が増えると思いませんか。
リタイア生活をしている年齢の人が生涯現役の社会で働くことになっても、モチベーションを保つことは出来るのでしょうか。
働きアリの法則のバランスに影響が出るのは明らかでしょう。
また、高齢者が働くことによって分母が増えるので、いままで合計10となるべき比率が、11、12と増え、意欲のある人の割合はより低下するのでしょう。
2極化する働き方
生涯現役の社会では、長く働く必要のある人達は生涯現役で働くことになるのですが、長く働く必要のない人達はどこかで自主的にリタイアすることになります。
生涯現役の社会では定年まで働く人が少なくなるので、アーリーリタイアする人の割合が増加するはずです。
ただし、60歳で退職してもアーリーリタイアになってしまいますが・・・。
定年が55歳や60歳の頃であれば、大半の人が定年を目指して働きましたが、生涯現役の社会で定年が延長されれば、一律に定年を目指す環境ではなくなります。
生涯現役の社会とは、早く切り上げて別の人生を歩もうとする人と、そのまま生涯現役を全うする人との2極化が進む社会になるのではないでしょうか。
本来の順番とは逆となる影響
高齢者の雇用を増やせば、全体として雇用者数は増加するのですが、必要以上に従業員を増やしても生産性は悪化します。
会社はシステム化などで作業工数の削減による経費削減に励んでいるのですが、これとは逆の動きとなります。
本来であれば、新たに事業が拡大して従業員を増やす必要があって、結果として社員数が増加した・・・というのが本筋なのですが。
順番が逆になればどこかに弊害となって現れ、それは働く従業員が割を食うことになるのでしょう。
生産性の悪化により平均給与が低下し、日本全体としても1人あたりのGDPは低下するように思えます。
生涯現役の社会とは、何となく良い響きとして伝わりますが、あまり良いことがあるようには思えません。
少しでも早くアーリーリタイアするのが賢明のように思えませんか。